人気ブログランキング | 話題のタグを見る

金融資本主義と改革者の運命

このところ世を騒がすものは、金融資本主義に怨嗟を持つ大衆を煽ぐマスコミによる改革者たたきである。日本の金融改革者たちは本家アメリカのそれに比べその志が低く、イノベーションと呼べるものを世の中にもたらしているとはいいがたい。マスコミの改革者たたきもおかしいが、まだ日本の改革者たちは真の改革者のレベルに達していないのである。筆者はたまたま1999年にアメリカの金融改革者マイケルミルケンについて調べたことがある。詳しくは『金融イノベーター群像』シグマベイスキャピタル、1999を見ていただきたいが、その出だしに次のように書いている。日本の似非改革者たちもここでマイケルミルケンの行き方を見直す必要がありそうだ。ミルケンについて詳しくは次のウエッブサイトで見れる。http://en.wikipedia.org/wiki/Michael_Milken

「金融のイノベーションは競争心と野心に燃えたプレーヤーたちによってもたらされる.そこで扱われる商品がマネーであり、成功した際の報酬が他の産業に比べてあまりにも刺激的過ぎて、時に不正や犯罪を生む.高額な報酬を求めて高度に競争的なアメリカの金融市場では、起こり得る逸脱をチェックするために幾重にも張り巡らされた監視や裁定の網がある.その金融上の発明があまりにも高額の富を生んだために、大衆の怨嗟を背景とした当局により80年代アメリカ経済のバブルの負の遺産の主役の一人に仕立て上げられたのが、マイケル・ミルケンである.
その後のアメリカ経済の回復と、彼が金融を組み立てたMCIやターナー等の企業経営の成功と共に、ミルケンは犯罪者ではなく戦後最大の金融イノベータ‐の一人で、時代の犠牲者であったとの声が一般化してきた.彼が生涯のビジョンとしてアメリカの教育改革に取り組み、獄中で発病した瀕死の前立腺ガンから立ち直り、ガン撲滅のための活動に財産をなげうっているのを見て、多くのマスコミは今ではミルケンを戦後生まれの中年世代の行き方の一つの理想モデルとして取り上げるようになった.
翻って日本を見ると、大蔵省を頂点とする階層社会モデルの崩壊と、企業社会を直撃するリストラの嵐の中で、これまでのシステムを信じその中にすべてをささげてきた金融関連業務に携わる多くの中年世代は、この動きに翻弄され完全に自信を失ったように見える。しかしあきらめるのは速い、ミルケンの全精力をかけた金融イノベーションへの取り組みと、その後降りかかる極刑、致命的な病、家族の不幸に全力で立ち向かいこれを克服し、癒しを求める姿は、日本の団塊の世代を中心とした中年世代のこれからの行き方に大きな希望を与えるものといえる.」
by masakuhara | 2006-06-23 11:43 | 日本の欧化
<< 日本人は英語をいつから学べばよいのか アジアと関係を結べなくなった九州 >>